館長あいさつ

今年3月8日の「国際女性デー」には、ドキュメンタリー映画『○月○日、区長になる女』の上映会とトークセッションを開催いたしました。
この映画は、2022年に杉並区長選挙で初当選を果たした岸本聡子さんと、彼女を支えた市民グループ、地域の人々に密着した作品です。住民の声を区政に届けようとするその運動は、多くの女性たちに勇気を与え、行動するきっかけとなりました。
印象的だったのは、岸本さんの「人口の半分を占める女性にチャンスがないなら、障がいがある人やLGBTQなど、他の少数の人たちは、もっとチャンスがないってことじゃない?」という意味の言葉です。 この言葉に、私は以前、ある金融関係者の学習会で耳にした「ジェンダーの問題、女性の権利の問題は “マザー・オブ・マター(すべての課題の根源)” だと思っている」という言葉を思い出しました。

私たちセンターでも、男女共同参画社会の実現に向け、様々なセミナーや講座を企画・実施しています。その中で、「男性だって辛い、大変」「もう男女は平等」「女性の方が強いから、こういう講座は意味がない」といったご意見をいただくこともあります。
「男性だって辛い、大変」という声には、私自身も共感します。性別に関係なく、苦しさを抱えている人が多くいる社会。それはやはり、私たちが見直すべき構造や文化が存在している証ではないでしょうか。

不安や不満、違和感を抱いたとき、それは自分の問題なのか、他者の影響か、それとも社会の仕組みそのものか——。
その原因を見つめ直し、少しでも生きやすい未来に近づくために、私たちはこれからも地道に取り組みを続けていきたいと考えています。

現在、当センターは指定管理の3期目(1期5年)の4年目に入りました。
今期の運営方針は、「誰一人取り残さない男女共同参画社会の拠点として、多様性の時代の核となる会館へ」というものです。

これまであまり関わりの少なかった団体・機関との新たな連携や共同事業にも積極的に取り組みながら、長年にわたりセンターを活用し活動してこられた皆さまと共に、多様性の時代にふさわしい「誰もが尊重される社会」のあり方を考え、行動していきたいと思います。
本年度も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

館長 吉田稀世

3月8日は「国際女性デー」。世界各国で女性の社会参画の機会拡充や人権を守るためのイベントが行われます。イタリアではこの日、男性が女性に感謝を込めてミモザの花を贈る「ミモザの日」として親しまれているそうです。

そこで「はあもにい」は、ミモザをシンボルツリーにしています。春の訪れを告げるかのように可憐な黄色い花が風に揺れるさまは、気持ちをホッとさせるとともに、何か楽しいことが始まる予感がしませんか?