「熊本市男女共同参画センターはあもにい」の指定管理事業者として第3期2年目の春を迎えました。
昨年度、コロナ感染の状況を気にしながらも対面の講座やイベントも徐々に復活させ、多くの方に男女共同参画の現状や課題について直接伝える機会を持つことができました。中でも、一番のトピックは「ジェンダーについて知りたい」「学んでみたい」という学生が複数名来館してくれたことです。これまでも若い人たちに知ってほしい・届けたいと出前講座など学生向けの企画を考えてきましたが、学生の方から来館してくれるとは嬉しい驚きでした。それだけ、ジェンダーや多様性への関心が高まっているのだと思いますし、閉塞感のある社会の中で、課題が浮き彫りになり課題に向き合う中で「根底あるジェンダーの問題」に気づく方たちが増えてきたのではないかと思います。
昨年度3月に新型コロナウイルス感染予防対策としてのマスク着用が緩和され、今年度5月からは感染症法上の分類が5類に変更されます。状況が一気に好転するとは思えませんが、3年以上続いた新型コロナウイルスへの危機対応が転換点を迎えようとしていることは事実です。この「転換期」にセンターに期待されていることは、コロナ禍でさらに進んだ《誰一人取り残さない、持続可能な社会を目指す》機運を止めないこと。自分らしさを発見・発揮しながら、多様な人たちの多様な考えの中から生まれる新しい制度や仕組みを受け入れる豊かな社会を目指し続けることだと思っています。
一方で、新規性・創造性を求めることが既存の文化や考え方・地域性の否定になってはいけないし、自分らしさ・自分たちらしさなどのアイデンティティの強調が多様性の否定になってもいけない。多様性の容認と自己認識の基点は相互に矛盾する側面があります。どちらも大切。どうバランスをとるのか‥。
おそらくそれこそ、答えがない矛盾に満ちた世界の現実だと思います。ああではないか、こうではないかと、さまざまな可能性を信じて行動しながらも悩み葛藤は尽きない。答えがないのに悩むのは一見無駄にも思えますが、それでも自分の思いや経験を言葉にしながら模索するプロセスが大切なのではないでしょうか。
男女共同参画社会の実現を目指し(それはひとりひとり思い描くものが違うため)、ひとりひとりが自分の回答を求め、葛藤や模索を自由に行うことができるような機会や場、そのための情報提供を続けていきたいと思います。
今年度も会館の安全安心な運営はもちろんのこと、男女共同参画社会実現のための啓発事業に、市民団体、地域のみなさま、企業のみなさんと共に悩み葛藤しながら取り組んで参ります。本年度も引き続き、ご指導ご鞭撻のほど どうぞよろしくお願い申し上げます。
2023年4月
館長 吉田稀世
3月8日は「国際女性デー」。世界各国で女性の社会参画の機会拡充や人権を守るためのイベントが行われます。イタリアではこの日、男性が女性に感謝を込めてミモザの花を贈る「ミモザの日」として親しまれているそうです。
そこで「はあもにい」は、ミモザをシンボルツリーにしています。春の訪れを告げるかのように可憐な黄色い花が風に揺れるさまは、気持ちをホッとさせるとともに、何か楽しいことが始まる予感がしませんか?