『男性だって怒ってほしい』
先月、「女子の夢」と題して、今春小学校を卒業した女子が挙げた「将来就きたい職業」のトップが「医師」であったこと。一方で、出産や子育て、介護などとの両立に悩む女性医師にサポートが必要な現実。そこに起きた東京医科大の入試における女子受験者の一律減点不正操作のニュースについて触れました。
「公正であるべき入試で不正が行われ、女性の医師への進出を阻んだ」と、一時多くの報道がなされました。対象となった女子受験者と、同様の不正操作が行われた浪人回数の多い男子受験者の怒りや悲しみはいかばかりでしょう。
一方で、社会はもっと「どうしてそんなことをしたのか?」に焦点を当て、掘り下げて考えるべきではないでしょうか。
大学病院の医師は男性医師、それも若い方がいいのはなぜ? 男性医師は出産しない(だから休まない)、育児や家事、介護をしない(だから長時間労働が可能)、若ければ結婚までに時間があり、体力もある(だから仕事中心のライフスタイルが可能)。そういった“能力”が期待されているということでしょうか。
であれば、男性だって怒ってほしい。「男性だから休まず働けるだろう」という前提の雇用や、自身の能力への評価基準に。
そもそも医療従事者には何が求められるのでしょうか。知識や技術だけでなく、心身の健康、人生経験の豊かさなどが生み出す“力”が人を元気にしてくれるのではないでしょうか。
はあもにい館長 坂本ミオ