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館長だより

ミモザのリース(館長だより㊴)『「見えない」ことにしない』2021.8

   以前、車いすを利用されている元県議会議員の方から、議場に行くのにエレベーターがなく、車いすを抱えてもらい階段を上がらなければならなかったという話を聞きました。エレベーターの設置はなかなか認められず、実現までにとても時間がかかったそうです。
   この元県議とは別の方から同じ話を聞く機会がありました。「そのとき『たった1人のために、なんでそぎゃん金のかかるこつばせなんか』と反対していた議員たちが年を取り、エレベーターの恩恵を最も受けている」という後日談を披露してくれました。
   自分と違う立場の人を思いやることは難しいものだと思います。相手が少数派であれば、なおさらかもしれません。また、個人的な付き合いの中ではできる配慮も、集団のルール下ではじかれる場合もあります。
   そんなことを思い出したのは、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の「国会提出見送り」のニュースが心にひっかかっていたからでしょう。
   車いす利用のような「見える」困難に対しても、少数であることから配慮と対応が十分でなかった時代から、その状況は少しずつ改善されていると感じます。一方で、性的少数者など「見えにくい」あるいは「見せることにためらいがある」状況の少数派を、「見えない」「見ない」ことにし続けていいのでしょうか。
   常に「自分が、自分の考えが正しい」と思っている人たちによる意思決定は危険です。信念は大事ですが、多様な人々や価値観に向き合い、受け入れる力が今、求められていると思います。

以前、車いすを利用されている元県議会議員の方から、議場に行くのにエレベーターがなく、車いすを抱えてもらい階段を上がらなければならなかったという話を聞きました。エレベーターの設置はなかなか認められず、実現までにとても時間がかかったそうです。
この元県議とは別の方から同じ話を聞く機会がありました。「そのとき『たった1人のために、なんでそぎゃん金のかかるこつばせなんか』と反対していた議員たちが年を取り、エレベーターの恩恵を最も受けている」という後日談を披露してくれました。
自分と違う立場の人を思いやることは難しいものだと思います。相手が少数派であれば、なおさらかもしれません。また、個人的な付き合いの中ではできる配慮も、集団のルール下ではじかれる場合もあります。
そんなことを思い出したのは、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の「国会提出見送り」のニュースが心にひっかかっていたからでしょう。
車いす利用のような「見える」困難に対しても、少数であることから配慮と対応が十分でなかった時代から、その状況は少しずつ改善されていると感じます。一方で、性的少数者など「見えにくい」あるいは「見せることにためらいがある」状況の少数派を、「見えない」「見ない」ことにし続けていいのでしょうか。
常に「自分が、自分の考えが正しい」と思っている人たちによる意思決定は危険です。信念は大事ですが、多様な人々や価値観に向き合い、受け入れる力が今、求められていると思います。