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館長だより

ミモザのリース(館長だより⑧)『手帳』2019.1

『手帳』 

   新年用の手帳や日記、カレンダーのすがすがしさは、この時季ならではですね。
   私の手帳には仕事の予定が黒いペンで記入されています。一方、青色のペンで書き込まれているのは、季節の家事(衣替えや寝具類、冷暖房機器、リビング用品の手入れや交換…)など「暮らし」の予定や記録です。また、毎日の業務記録(日記代わりのメモ)の下には、夕食のメニューを書き入れています。
   私が手帳にこんなことを記入し始めたのは専業主婦になったことがきっかけでした。大学卒業後16年間働き続けた後、第2子となる息子を生んだタイミングで仕事を辞めました。慣れ親しんだ土地から離れた夫の実家に移り、両親と同居。乳児を含め6人家族の主婦となり、家事と育児に専従する毎日を送りました。
   そうやって1年近くが過ぎた年末のある日、新年用に用意した美しい花の図柄のカレンダーを眺めていて、涙がぽろぽろっとこぼれたのです。家事も育児もいやではないけれど、何をしたのか分からないまま毎日が過ぎるようで、昨日と今日の違いが分からないようで、自分の存在感があまりに不確かで…。日々の充実や喜びを表現するような、その美しい花のカレンダーがとても残酷に見えました。
   新年を迎え、私は黒い何でもない手帳を手に入れ、家事・育児の記録を書きとめ始めました。ただ「私はここで生きている」「成長している(はず)」と、記録したかった。自分に言いたかったのだと思います。
   家事や育児はとても大事な仕事ですが、できて当たり前と、評価の対象になりにくいものです。「誰も評価しなくていいから、自分は自分を評価してあげたい」。私はそのためのデータを積み上げたかったのかもしれません。
   私は今も手帳が好きです。そのときそのときの自分がそこにいる。新しい年も、そこに成長の跡を残せるといいなと思っています。

※2018年は大変お世話になりました。新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。

はあもにい館長 坂本ミオ